申込証拠金や交渉預り金は、造成宅地分譲や建売住宅あるいはマンション分譲などの際に授受されることのある金銭で、不動産業界において用いられている言葉ですが、法律に定められたものではありません。申込証拠金は他に「売り止め金」といわれることもあり、そのお客様のために一定期間は他のお客様に売らずに確保しておくという趣旨が含まれていることが多いようです。一定期間その物件を確保しておく以上、冷やかし客を排除して真摯に購入を検討しているお客様を選別するという趣旨から、一定の金銭を預かるという実務が形成されてきたものと思われます。
しかし、申込証拠金や交渉預り金は、いわゆる「手付金」には該当しません。手付は契約が成立していることを前提とするものですので、物件の売買契約が未成立の段階で交付される金銭は手付の効力は有しないとみるべきだと思われます。
申込証拠金については、過去に、契約不成立となった場合に申込証拠金の返還の要否について多くの紛争を生じたことから、昭和48年2月26日に建設省計画局不動産業室長通達が発令されています。