道路予定地と売買契約締結の可否

1. 道路予定地とは

住宅建築の目的で土地を購入する際に、契約対象土地の一部に道路予定地が存在していることがあります。このような道路予定地がある場合に、売買契約の締結において何か特別の手続きが必要となるのか、また、購入した土地の利用に制限があるのか、という問題については、きちんと知識を整理しておくことが必要です。

公道としての道路には一般国道、都道府県道、市町村道、高速自動車国道等々の種類があり、その開設にあたっての手続きには若干の相違はありますが、一般的には、(1)路線の指定・認定段階、(2)道路の区域決定の段階、(3)当該道路用地の権原の取得の段階、(4)道路の工事の段階、(5)供用の開始のステップを踏むことになっています。

道路は、(5)供用の開始があって初めて道路となりますので、上記の各段階のうち⑤の供用の開始前の段階では未だ道路ではなく道路予定地にすぎないことになります。

道路解説に関する上記説明文を簡略化した図。

2. 道路予定地の利用に関する制限

道路法においては、(2)の道路の区域決定が行われた後は、土地の形質の変更や建築物等の建築・増改築・大修繕等の行為は道路管理者の許可を得ない限り行うことができなくなります。(3)の権原の取得がなされた後は、供用開始前であっても供用開始後と同様に使用収益が認められなくなります。

逆にいえば、(1)の路線の指定・認定がなされたというだけであれば、道路法では何らの制限も課されていません。

なお、都市計画法では、都市計画区域において都市計画に道路を都市計画施設として定めた場合には、建築物の建築には国土交通省令の定めるところにより都道府県知事の許可を受けなければならないものと定められています。例外としては、階数が2以下で地階を有しないこと、主要構造部が木造・鉄骨造・コンクリートブロック造、その他これらに類する構造であること、この要件に該当し、かつ容易に移転・除却のできるものであるなどの場合には都道府県知事は許可しなければならないものとされています。

3. 道路予定地の売買

上記2で述べたことは、いずれも土地の利用上の制限であって、土地の所有権の取得を制限するものではありません。もっとも、利用が制限されている土地であっても、所有権の取得を制限されていないからといって、これを購入してよいかということは別の問題です。

仮に、売買契約締結時には、土地の利用の制限について全く説明をされたこともないため買主側が全く知らず、売買契約締結後、当該土地の引渡しを受けた後に土地の利用が制限されていることが判ったという場合には、買主が無過失であれば民法570条の瑕疵担保責任が発生します。

この場合には、売買対象土地の一部に道路予定地があり、各種の利用制限があることによって売買の目的が達成できないという場合には、買主は契約の解除ができ、支払済の代金の払戻を請求することができます。また、当該瑕疵があったとしても売買の目的を達成できないほどではないという場合には、買主は損害賠償の請求のみが認められます。

弁護士
江口 正夫