判例では、このような場合には、完成した建物が住宅建物として一般的に求められる品質・性能を有している場合であっても、設計図・仕様書により示された品質・性能を欠いているときは、売買目的物に契約不適合があるものとして、契約不適合責任の対象となるものと考えられています。
したがって、いわゆる仕様書売買の販売形式の場合には、完成した建物が通常の品質・性能を有していたとしても、設計図・仕様書と異なっていた場合には、買主は、売主に対し、原則として損害賠償請求ができますし、相当期間を定めて契約不適合の解消を催告したにもかかわらず、その履行がされない場合には契約の解除ができます。もっとも、設計図・仕様書と異なること、例えば間仕切り壁の位置が異なること等が軽微な契約不適合と判断されるとすると、解除が認められるケースはそれほど多くはないと思われます。