購入した住宅が設計・仕様書と異なる場合

1. 住宅建物の販売形式
~売建住宅の販売と建売住宅、 仕様書販売の住宅

住宅建物の売買契約には、大きく分けて、売建住宅の販売と、建売住宅の販売とがあります。

(1) 売建住宅

売建住宅とは、不動産業者が宅地を分譲するとともに購入者との間で同宅地上の建物についての建築請負契約を締結して住宅建物を建築する形式で、土地については売買契約、建物についての契約は請負契約の形式をとります。具体的には、建築条件を付けて土地を売買するという建築条件付売買契約を締結します。

(2) 建売住宅

建売住宅売買とは、一般的には、不動産業者が既に完成した建物を販売するもので、建物についての契約は売買契約の形式をとります。既に建築され、完成した建物を内覧して売買するものですから、設計図等が問題となることは少ないといえます。

(3) 仕様書売買

不動産業者が顧客に対し、建物が完成する前の段階でモデルルームの内覧をさせたり、設計図・仕様書を示したうえで建物を売買する形式のものがあります。このうち、売主である業者が、モデルルームどおり、あるいは設計図・仕様書どおりの品質・性能を有することを保証したとみられる販売形式を、仕様書売買(あるいは見本売買)ということがあります。

住宅建物の販売形式

  1. 売建住宅販売 ⇒ 建物建築請負契約
  2. 建売住宅販売 ⇒ 建物売買契約
  3. 仕様書売買 ⇒ 保証付建物売買契約

2. 設計・仕様書と異なる建物の販売契約

(1) 売建住宅が設計図・仕様書と異なる場合

売建住宅の場合には、完成した建物が設計図や仕様書と異なる場合には、買主は、同建物の建築請負業者に対して瑕疵担保責任の追及として、修補請求権、修補に代わる損害賠償請求権、修補と共にする損害賠償請求権を行使することができます。建物その他土地の工作物(土地に固着させた物)については、引渡しの後5年間行使することができ、石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物については引渡しの後10年間行使することができます。

(2) 仕様書売買による住宅建物が設計図・仕様書と異なる場合

判例では、このような場合には、完成した建物が住宅建物として一般的に求められる品質・性能を有している場合であっても、設計図・仕様書により示された品質・性能を欠いているときは、売買目的物に瑕疵があるものとして、瑕疵担保責任の対象となるものと考えられています。

したがって、いわゆる仕様書売買の販売形式の場合には、完成した建物が通常の品質・性能を有していたとしても、設計図・仕様書と異なっていた場合には、買主は、売主に対し、原則として損害賠償請求ができますし、当該瑕疵により契約をした目的を達することができない場合には契約の解除ができます。もっとも、設計図・仕様書と異なること、例えば間仕切り壁の位置が異なること等が契約の目的を達成できない場合に該当することは稀であると思われますので、解除が認められるケースはそれほど多くはないと思われます。

弁護士
江口 正夫