土地売買契約書に記載された土地面積の意義

1. 土地売買契約書に記載される土地の表示

土地売買契約書には、売買対象土地の所在、地番、地目、地積が記載され、売買契約の対象となった土地の面積が記載されています。売買契約書に記載されている土地の面積の意味を正確に知っておかないと、誤解により、売主と買主との間でトラブルを生ずることがあります。

よくあるトラブルのひとつは、土地売買契約書の売買対象土地の面積が、例えば150平方メートルと記載されていることから、買主が購入する土地は当然150平方メートルの面積があるものと考えて購入したところ、実際には売買対象土地の面積は142平方メートルしかなかったという場合で、面積が不足しているのだから損害賠償をしてほしい、代金を減額してほしい、その他売主に責任を取ってもらいたいなどというトラブルに発展することがあります。

この問題は、土地売買契約書に記載されている土地の面積が、どのような趣旨で記載されているかによって、結論が異なってきます。

2. 土地売買契約書に記載される土地面積の趣旨

一般に、土地売買契約書に土地の面積が記載されるのは、大きく分けて2つの意味があります。

1つは、売買対象土地を特定する目的です。土地を売買するには、売買の対象となる土地を他の土地と誤解することのないように特定しなければなりません。このために、通常は、土地の所在、地番、地目(例えば宅地とか、山林、公衆用道路など、土地の主たる用途を表すために付せられた名称)の他に、地積として当該土地の面積が表示されます。この目的のために土地面積として地積(〇〇平方メートル)が記載されるのは、売買の対象土地を特定するための補助的な手段にすぎませんので、実測面積との相違を問題にすることはできません。

もう1つは、売買対象土地が何平方メートルあるかを示すための表示で、代金額もその面積に従って決定されている場合です。これを「数量指示売買」と呼び、この場合には、記載された面積に不足がある場合には代金の減額等の措置が必要となります。通常、地積の記載欄に括弧書きで「公簿売買」と記載されているのは前者の意味を示しています。

弁護士
江口 正夫