契約の当事者が契約に定めた債務を履行しない場合には、債務を履行しなかった当事者には債務不履行責任が発生します。一般的に、債務不履行責任には3つの類型があるとされています。
1つ目は、債務の履行が可能であるにもかかわらず履行期が到来しても、債務の履行をしない場合です。これは債務の履行が履行期よりも遅れていることになりますから、「履行遅滞」の責任が発生します。
2つ目は、債務の履行が形式的にはなされてはいるが、それが本来の債務の本旨に従ったものではなく不完全な債務の履行である場合です。これは「不完全履行」と呼ばれています。
3つ目は、債務を履行しようにも、その履行が不可能となっている場合です。これを「履行不能」といいます。
改正民法415条は、「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。」と定めています。同条の「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき」に上記の履行遅滞と不完全履行が、「債務の履行が不能であるとき」が履行不能に該当します。
この3つの類型のいずれにおいても、「債務者の責めに帰すべき事由」が存することが債務者の債務不履行責任を追及する要件となります。