消費者契約法では、事業者が消費者との間で消費者契約の締結を勧誘するにあたり、消費者に利益となる事実を告げ、これと裏腹の不利益となる事実を故意に告知しなかった場合には、消費者は当該消費者契約を取り消すことができる旨を定めています。
例えば、事業者である売主が消費者である買主に対して、当該物件が景観が良好であることを強調して売買の勧誘を行った際に、売主が隣地にビルが建つ予定であって、これにより良好な景観が失われるという事実を知りながら、この事実を買主に告知することなく売却したという場合には、景観が良好であるという消費者に利益となる事実を告げながら、その裏腹の事実である景観が近い将来において悪化するという消費者に不利益な事実を告知しなかったということになります。
このような場合は、消費者契約法により、消費者である買主は、いわゆる「不利益事実の不告知」を理由として売買契約を取り消すことができます。