不動産売買契約と瑕疵担保責任免除特約

1. 売買契約と瑕疵担保責任

住宅用の土地建物の売買契約を締結したときに、売買の目的物である土地や建物に、売買契約締結当時には発見されない欠陥(「瑕疵」)があった場合、売主は、買主に対し、買主が当該瑕疵によって被った損害を賠償する義務を負い、当該瑕疵が存在することによって売買契約を締結した目的が達成し得ない場合には買主は契約を解除することができます(民法570条、同566条)。

売買の目的物の瑕疵とは、目的物が通常有すべき品質を欠いていることをいいます。これには、建物が白蟻の被害にあっているというような物理的な瑕疵だけではなく、建物内で過去に自殺があった等の心理的な瑕疵も含まれます。

「隠れた瑕疵」という意味は、取引の中で通常要求される注意を用いても発見されないということで、買主が当該瑕疵について善意無過失であることが要求されています。瑕疵担保責任の責任期間は、買主が瑕疵を知ったときから1年間とされています。

2. 瑕疵担保責任免除特約

瑕疵担保責任は必ずしも絶対的なものではなく、当事者がこれを免除する特約も有効にすることができます(民法572条)。

ただし、瑕疵担保責任を免除する特約は常に有効であるとは限りません。法律は、瑕疵担保責任免除特約が無効となる場合を規定しています。

(1) 民法の規定による瑕疵担保責任免除特約の無効

1つには、民法572条の規定です。契約自由の原則により、当事者が瑕疵担保責任を免除することを合意した場合にそれを尊重すべきことは当然ですが、売主が瑕疵を知っていながらこれを告げずに売買契約を締結した場合のように、それが信義に反する場合には無効となります。

(2) 宅地建物取引業法の規定による瑕疵担保責任免除特約の無効

売買契約において、宅地建物取引業者が自ら売主となる場合には、当該宅地建物取引業者は、担保責任の期間を2年以上とする場合を除き、売主の瑕疵担保責任の規定を民法の規定よりも買主に不利な特約とすることは無効と定められています。

(3) 消費者契約法の規定による瑕疵担保責任免除特約の無効

事業者(法人その他の団体や事業のために契約する個人を含む)と消費者(個人であって非事業のために契約する者)との間の契約(消費者契約)の場合に、事業者の瑕疵担保責任を全部免除する特約は無効と定められています(消費者契約法8条1項5号)。

このように、土地付建物売買契約において、売主が瑕疵担保責任を負わないとする瑕疵担保責任免除特約がなされることは少なくありませんが、瑕疵担保責任を免除する特約は常に有効なわけではありません。例外としての無効事由に該当していないかを必ずチェックする必要があることに留意してください。

(4) 住宅の品質確保の促進等に関する法律による瑕疵担保責任期間

新築住宅を売買契約や請負契約により取得する場合、柱・はりなどの基本構造部分や雨水の侵入を防止する部分の重大な欠陥に関する瑕疵担保責任期間については、住宅の品質確保の促進等に関する法律により引渡しの日から10年間義務付けられており、買主に不利となる特約は無効と定められています(第95条)。

瑕疵担保責任免除特約 = 原則として有効

  • (1) 民法572条

    *売主が瑕疵を知って告げなかった場合、瑕疵担保責任免除特約は無効となる。

  • (2) 宅地建物取引業法40条

    *宅地建物取引業者が自ら売主となる場合には
    担保責任の期間を2年以上とする特約を除き民法の規定より買主に不利な特約は無効

  • (3) 消費者契約法8条1項5号

    *事業者の消費者に対する瑕疵担保責任全部免除特約は無効

  • (4) 住宅の品質確保の促進等に関する法律95条

    *住宅の品質確保の促進等に関する法律が適用される新築住宅の基本構造部分については、瑕疵担保責任の期間は10年間義務付けられており買主に不利な特約は無効

弁護士
江口 正夫