期間短縮型
「期間短縮型」とは、下図のように、繰上返済する金額をすべて元金の返済にあてる(「内入れ」する)ことで、返済が短縮された期間分の利息を節約できる仕組みである。
返済開始当初の方が毎回返済額のうち、利息の占める割合が大きいので、繰上返済が早ければ早いほど、それだけ利息の軽減額が大きくなり、効果が大きくなる。
また、金利が高いものほど、返済期間が長いものほど利息軽減効果は大きくなる。
一部繰上返済「期間短縮型」(元利均等返済の場合)
「期間短縮型」のイメージ
借入額3,000万円、約100万円の繰上返済をした場合の比較
早ければ早いほど利息軽減額は大きい(金利:2.3% 返済期間:30年の場合)
繰上返済時期 | 3年後 | 5年後 | 10年後 |
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繰上返済額 | 1,007,613円 | 1,054,999円 | 1,033,525円 |
利息軽減額 | 839,427円 | 792,041円 | 582,635円 |
金利が高いほど利息軽減額は大きい(返済期間:30年 5年後に繰上返済した場合)
金利 | 1.5% | 2.0% | 2.5% |
---|---|---|---|
繰上返済額 | 1,004,604円 | 1,021,108円 | 1,031,859円 |
利息軽減額 | 444,900円 | 642,167円 | 864,717円 |
返済期間が長いほど利息軽減額は大きい(金利:2.3% 5年後に繰上返済した場合)
返済期間 | 25年 | 30年 | 35年 |
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繰上返済額 | 1,007,818円 | 1,054,999円 | 1,009,641円 |
利息軽減額 | 571,178円 | 792,041円 | 967,480円 |
繰上返済の条件
繰上返済できる最低返済額については、金融機関ごとに条件がある。
例えば、フラット35では10万円(インターネットサービスを利用する場合、元金10万円以上から可能)または100万円以上とされているが、民間住宅ローンでは1円や1万円から可能なものもある。
繰上返済手数料
繰上返済手数料は、変動金利期間中より固定金利期間中のほうが高いもの、数千円~数万円のものや、インターネットや電話などで簡単に繰上返済の手続きができて手数料無料のものなどがある。
返済額軽減型
「返済額軽減型」とは、原則として返済期間は変えずに毎月の返済額を減らす方法である。繰上返済した額はすべて元金の返済にあてられ、その分の支払利息が軽減すること、時期が早いものほど、金利が高いものほど、また、返済期間が長いものほど利息軽減効果が大きくなることは「期間短縮型」と同じである。
「返済額軽減型」のイメージ
「期間短縮型」と「返済額軽減型」の比較
同じ額での繰上返済効果を比較すると、利息負担の軽減が目的であれば、下図の比較のとおり「期間短縮型」の方がメリットが大きい。しかし、家計の支出増加や収入減少などにより毎月の返済が厳しくなった場合に取るべき対策としては、毎月の返済額を抑えて少しでも余裕のある生活にすることなので、たとえ効果は小さくても「返済額軽減型」を検討する。
比較例)
借入額が3,000万円(金利2.3%)、返済期間は30年、毎月返済額が115,440円の場合、5年後(60回目)に約100万円の繰上返済になる。
期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
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繰上返済額 | 988,110円 | 1,000,000円 |
繰上返済の効果 | 1年3ヶ月(15回) 期間が短縮される |
毎月返済額が111,054円になる (4,386円少なくなる) |
利息軽減額 | 743,490円 | 315,848円 |
固定金利期間選択型の繰上返済
固定金利期間選択型の場合、将来の金利上昇に伴う返済額増加が気になるところである。
下図の例では、10年固定で当初1.8%だった金利が11年目に3.0%に上昇すると、毎月返済額は約1.3万円増加することになる。
しかし、この時点で約228万円の「返済額軽減型」の繰上返済を行えば、毎月返済額を従来とほぼ同じ返済額に軽減することができる。
つまり、10年間で228万円を準備できるのであれば、3.0%程度までの金利上昇には耐えられるという一つの指標にもなる。
金利上昇時の繰上返済に利用
借入額:3,000万円 返済期間:30年