手付による解除は、「相手方が履行に着手」したときには認められなくなります。「契約の履行に着手する」とは、単なる履行の準備行為を行うだけではなく、「契約によって負担した債務の履行行為の一部を行い、それが外部から見てわかるものでなければならない」と解されています。
では、「買主による契約の履行」とは何でしょうか。最も明確なのは、買主が売買代金の支払いをすることです。したがって、不動産売買契約において、買主が手付金のほかに、「内金」「中間金」を支払えば買主は契約の履行に着手したことになり(「履行の着手(1)」)、それ以降は、売主は手付による解除ができなくなります。