繰上返済と借換え(借換え)

住宅金融支援機構では、2022年4月から 2023年3月までに住宅ローンの借換えをされた方を対象に、借換えによる住宅ローンの金利タイプの変化などについて、インターネットによるアンケート調査を実施しています(2022年度 住宅ローン借換えの実態調査)。その調査結果の主なポイントを見ながら、借換えの注意点を見ていきましょう。

(参考)調査実施時期:2023年4月28日~5月10日、回答数:840件

1. 借換え後の住宅ローンの金利タイプ

「借換え後」の住宅ローンの金利タイプは、「変動型」が51.5%、「固定期間選択型」が42.1%、「全期間固定金利型」が6.3%でした。
「変動型」が前年度調査より増加(+2.3%)する一方、固定期間選択型(▲1.8%)と全期間固定型(▲0.6%)は減少しています。

やはり、現在の特に変動金利を中心とした低金利の状況を受けて、変動金利を借りる人が多いようです。「全期間固定型」から「変動型」や、「全期間固定型」から「固定期間選択型」に借り換える場合、将来の金利上昇について注意が必要です。

2. 借換えを行った理由

借換えを行った理由は、「金利が低くなるから」と「返済額が少なくなるから」が多いですが、いずれも前年度調査から減少しています(▲2.0%、▲9.1%)。
一方、「今後の金利上昇や毎月の返済額増加が不安になったから」は、前回調査から増加(+2.3%)しています。

金利や返済額の引下げを目的とする人が多いものの、今後の金利上昇に対する懸念が徐々に高まってきていることから、割合が減少したのではないかと思われます。

3. 借換えを行うに当たっての注意点

(1)借換えについて、一般的に次の3つの条件を満たさない場合、借換えをするメリットが十分発生しない場合があります。

  • 金利差1%以上
  • 返済残期間が10年以上
  • 住宅ローン残高が1,000万円以上

これは一つの目安ですが、金利の動向について十分な情報収集を行うとともに、ご自分のケースで借換えによる効果はどうか、実際にシミュレーションすることが大事です。
なお、借換えには、保証料、事務取扱手数料、司法書士報酬等の諸費用がかかります。借換えの検討に当たっては総返済額または毎月の返済額だけでなく、諸費用を含めた総費用を考慮にいれましょう。

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(2)その他、借換えの主な留意事項は次の通りです。

  • 借換えを実行することにより返済期間が短くなった場合(10年未満)、住宅ローン控除が使えなくなる可能性があり、注意が必要です。
  • 住宅ローンを借りた後、健康状態に問題があったり収入が減少した場合などに、借換えができなくなることもあります。
  • 現在返済中の金融機関で新しい住宅ローンに借換えができれば、他の金融機関で借換えるよりも有利なのではないかと考える方もいらっしゃいますが、同じ金融機関内での借換えは原則としてできません。