具体的な提案&効果測定の3回目です。今回は③「(住宅)購入価格の見直し」について見ていきましょう。
対応策3:購入価格の見直し
今まで、①住宅ローン金利の見直し、②家計改善を見てきました。ただ、住宅購入時の究極的な提案は、今回の③「(住宅)購入価格の見直し」…つまり相談者にとって適正な住宅購入価格を導くことになるでしょう。
なぜなら、購入価格が安くなることで、それに伴う手数料などの諸費用がドミノ倒しのように変化~安くなっていくので、想像以上にキャッシュフローの改善が計れるからです。
適正な住宅価格を求めるには?
キャッシュフロー分析により、適正な住宅購入価格を導くことができます。具体的には、第5回(①住宅ローン金利の見直しの回)で行ったことと同じことをします。ただし、今回は、住宅ローン金利を見直すのではなく、金利はそのままで借入額(限度額)を見直すことになります。この方法は、「借りられるではなく、返せる」金額を導くことに他ならないのです。
今回のケースでは、住宅ローンの年間返済額が98万円(借入額:2,460万円・35年返済・全期間固定金利:2.0%)から、年間20万円を調整、つまり、年間返済額が78万円になる借入金額を求めることになります。
ここで、「返済額早見表」などを使って導いていきましょう。
返済表をエクセルなど表計算ソフトで作成し、返済額を確認してもいいのですが…同じ条件で借入額を試算すると1,950万円(団体信用生命保険込み)で、年間返済額が78万円になります。
当初の借入金額が2,460万円ですから、510万円(約21%)の価格調整が必要ということです。もちろん、この金額自体は目安に過ぎませんし、現実的にこの価格が実現可能かどうか?はわかりません。ケースバイケースでしょうが、元々の物件価格から考えると、今回のケースではかなりハードルが高いと言わざるを得ないでしょう。
返済額早見表
この表はPDFファイルでご覧いただけます。
(返済額早見表:PDF)
数字的にはOKでも…
では、「他の物件を探そう!」と考えてしまうのも一案なのですが、不動産は「それしかない」ということが特徴です。また、マンション市場において、中古物件だけでなく、新築物件も値引き販売が行われることがありますから、本物件を購入する際に、今回導かれたこの金額を材料として交渉に臨むことは有意義でしょうし、説得力もあるでしょう。
ライフプランFP® 佐藤 益弘