第3回 CF表の分析ポイント

前々回から具体的にキャッシュフロー(以下、CF)分析のお話をしていますが、第3回は、第2回で提示した事例に基づき進めていきます。まず、「分析ポイント」から見ていきましょう。

CF分析の目標

第2回の事例は、ある家族が、「3,100万円のマンションを購入したい!」という相談があったという想定でした。つまり、人生、様々な目標がある中で、「マンションを購入したい!」という目標を第一に考えて~変更することなく、話を進めていくということになります。

事例のCF分析ポイント

第2回で、CF表から問題点を確認するには、以下の手順を踏むとお伝えしました。

  1. 問題の場所と大きさを確認する~CF表からどの時点で何が問題か?を探す
  2. 見つかった問題を解決するために、実現可能な対策を考える
  3. 対応策の効果を見積もる~どのタイミング、どれぐらいの金額が必要か?

この手順に沿って、考えていきましょう。

問題の場所と大きさを確認する

事例のCF表を見て、どの時点で何が問題になるのか…分かりますか?
まず「貯蓄残高」がマイナスになっていないか?を確認しましょう。そうすると、13年目~16年目がマイナス=赤字になっていることが分かります。
この段階で、「このマンション購入には無理がある!」と判断するのは、早急です。なぜなら、確かに赤字にはなっていますが、トレンド(傾向)を確認すると、15年目(▲143万円)を底に貯蓄残高は上昇しているので、一工夫すれば、購入ができるのでは?と判断できるのです。
もちろん、長い目で見ると、定年後、貯蓄を取り崩す生活になるのが一般的です。この事例でも貯蓄残高が減少していきますが、住宅購入を早い段階で行う分、定年後の住宅費を低く抑えることができ、減少スピードを遅らせることもできると考えられます。

「年間収支」がマイナス~赤字になっている理由を考える

どうして、貯蓄残高が減少するか…というと、年間収支がマイナス…つまり、①収入が減少しているか?②支出が増加しているか?のどちらかになります。ですから、CF表を改善するには、その原因を突き止め、対策を打てばよいということです。
まず、事例のCF表を見て、「年間収支」がマイナス~赤字になっている時期と理由を確認しましょう。そうすると、(1)9年目~15年目、(2)26年目以降がマイナス=赤字になっていることがわかります。

ポイントは理由を知ることです!

(1)9年目~15年目の場合は、この時期に娘さんの教育費が増加する~つまり、②の支出が増加していることが理由です。この理由が無駄遣いであれば、その点をダイレクトに改善すればいいのですが、今回は、大切な娘さんの将来にかかわる大事な教育費です。娘さんに特待生になってもらい、学費免除!になることが最もうれしい打開法なのですが、世の中、そう簡単に事は運びません。他の支出を改善したり、収入を増やす方法を検討しましょう。
ちなみに、(2)26年目以降の場合は、定年退職による収入減少によりバランスが悪化しています。現役時代の生活習慣を変更するなどして節約しつつ、生き甲斐を得るために年金以外の収入を創造するなど、メリハリのあるお金の使い方を考えてみましょう。

ライフプランFP® 佐藤 益弘