第4回 CF分析による対処方法

第3回ではキャッシュフロー表から「分析ポイント」を見ていきました。
第4回は、その対処方法について考えてみたいと思います。

問題解決策を考える前に…

第3回で、そもそもの理由である、「年間収支」のマイナス~赤字を、事例のCF表に基づき、判定しました。具体的には、(1)9年目~15年目に娘さんの教育費が増加するため、(2)26年目以降、定年退職による収入減少が続き、マイナス=赤字になっているということでした。
理由はわかったので、ここで、具体的な問題解決方法を提案したくなってしまうのですが…実は、もう1つしなければいけないことがあります。
それは、〝どのタイミングで″〝いくらくらい″の収支改善をする必要があるのか?根本的な措置方法を知っておくことです。

どれくらい改善させればよいの?

今回の事例では、最も預金残高が減少する最悪期は15年目の▲143万円ですから、此処がポイントになります。余裕資金として、生活費の半年分:147万円(2017年時点の年間基本生活費294万円の半分)、余裕を見て150万円を見積もることにしましょう。そうすると、改善金額は、15年目に293万円ということになります。
もちろん、このCF表に示されていない36年目以降の数値も確認すべきなのですが、今回のご相談は住宅購入を主目的にしているので、このハードルを超えた後に老後の対応については検討することにします。では、どれくらい改善できればよいのでしょうか。
「15年間で293万円の赤字を解消する必要がある!」というと、「かなり大変だなぁ」と言う心証を持たれる方が多いはずです。
そこで、「時間単価(千円以下、四捨五入)」で考えるようにしましょう。例えば、年単位で考えると〝20万円″(≒293万円÷15年)、月単位で考えると〝2万円″(≒20万円÷12カ月)ということになり、当初は「無理だ」と思えた金額も、「できるな!」に変化するのではないでしょうか? このようにイメージしやすい数値に引き直すことも必要です。

実現可能な対策を考える

ここまでくれば、後は具体的な対応策を検討することになります。
まず、①「住宅ローンの見直し」、つまり相談者にとって適正な金利水準を見つける事から始めることにしましょう。現実的な対応が可能か否かはともかく、数値的には1つの答えになります。また、固定費を見直した方が精神的にも、苦痛が少ないと思います。
ただ、既に提携ローンなど比較的有利な条件で住宅ローンを組まれている場合は住宅ローンの組み直しは効果が薄いでしょう。
そこで収支改善の王道である、②節約など家計改善、つまり、適正な支出水準の割り出し、修正を検討する必要があります。
また、③「(住宅)購入価格を見直す」、つまり、購入価格自体を下げるという考えもあるのではないでしょうか?
いずれの対策を検討するにしろ、ポイントとなるのは、相談者の気持ちも含めた「実現可能性」です。

ライフプランFP® 佐藤 益弘