さまざまな住宅ローン(空き家関連ローン)

空き家対策を巡る現状

人口の減少や高齢化社会を背景に、空き家の増加が全国的に大きな問題となっています。
総務省統計局の調査では、令和5年10月には空き家は900万戸と、平成5年から令和5年までの30年間で倍増しています。
特に適切に管理されていない空き家は、老朽化による防災性の低下や、管理不全による防犯、衛生、景観など多岐にわたる問題への対応を迫られてきました。

このような状況を受けて平成27年から「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、「特措法」という。)」が施行されており、令和5年12月には法改正もなされています。
特措法では、倒壊の危険があるなどの問題がある空き家を「特定空家等」と位置づけています。その物件の所有者には修繕や撤去の指導・勧告・命令ができ、さらにそれに従わなかった者には行政が強制的に撤去し、かかった費用を持ち主に請求できる「代執行」の措置が取れることになりました。
また、勧告を受けた「特定空家」および「管理不全空家」の土地については住宅用地特例の適用対象から除外されるため、土地にかかる固定資産税が最大6倍に跳ね上がることになります。
さらに、空き家問題に関連して、所有者不明土地の増加が問題となるなか、令和6年4月からは相続登記の義務化がなされるなど、空き家関連対策の動きは活発化しています。

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出所:令和5年住宅・土地統計調査(総務省)

空き家の利活用と空き家関連ローン

空き家の解消を促進するため、解体費用やリフォーム・リノベーション費用の資金不足を補うべく、多くの民間金融機関から空き家関連ローンとして商品が提供されています。
空き家関連ローンは、大きく分けて解体ローンと活用ローンの2種類があります。

解体ローンは、その名の通り空き家や外構の解体工事費に対するローンのことです。多くの商品は無担保で保証人不要、年金受給者でも借りられるなど、かなり利用しやすい条件になっています。地方公共団体と提携しているケースも多く、提携地方公共団体から補助金を受けている場合は金利を引き下げるなどの措置が取られているものもあります。
また、空き家ローンなどの名称がついていなくても、既存のリフォームローンや無担保ローンの項目に「空き家の解体」を含めた商品も登場しています。

活用ローンは空き家の改修や駐車場の造成工事などを対象としたものが中心ですが、中には空き家の購入資金や、防火・耐震、防災・防犯上の設備対策費、太陽光発電などの環境配慮型設備工事費にまで及ぶものもあります。

また、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する「【フラット35】地域連携型」を利用して提携する地方公共団体の空き家を取得する場合、一定期間金利の引下げを受けることができます。

さらに、空き家の購入とあわせて、一定の要件を満たすリフォームを実施することで、借入金利を一定期間引き下げる「【フラット35】リノベ」もあります。

なお、住宅金融支援機構では、全国の金融機関が提供している空き家関連ローンや地方公共団体の制度について検索できる以下のウェブサイトを開設しています。

https://www.simulation.jhf.go.jp/akiya/index.php

また、弊協会が住宅ローンアドバイザー登録者の方向けに提供した、空き家に関する特集記事を以下に掲載しますので、是非ご参考ください。

「空き家活用に係る公的支援と空き家関連ローンの概要(一部抜粋)」