住宅価格の高騰を背景に、物件購入に必要とされる資金が増大するなか、融資額を引き上げるために、各金融機関は様々な商品を打ち出してきています。
その中でも、ペアローンは近年、若い世代の間で急速に利用率が高まっている商品です。
出所:住宅金融支援機構 住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2025年4月調査)】
ペアローンというのは、1つの物件に対し、夫婦など二人で住宅ローン組むことで、借入額を増やすことができる仕組みです。従来から似たような仕組みとして収入合算がありますが、それぞれの商品性の違いは次のとおりです。
| ペアローン | 収入合算 | |||
|---|---|---|---|---|
| 債務の形式 | (連帯保証・物上保証) | 連帯保証型 | 連帯積務型 | |
| 契約の方法 | 同一金融機関で、お互いに連帯保証人となり、双方が住宅ローン契約を締結する | 収入合算者を連帯保証人として、主たる積務者が住宅ローン契約を締結する | 主たる積務者、従たる責務者が連名で住宅ローン契約を締結する | |
| ローン契約の数 | 2件 | 1件 | 1件 | |
| 団体信用生命保険 | 双方が加入 | 主債務者のみ | 主債務者のみ* | |
| 住宅ローン控除 | 双方が受けられる | 主債務者のみ | 連帯主債務者も受けられる | |
| 取扱金融機関 | ほとんどの民間金融機関 | おもにフラット35など | ||
*フラット35の「ペア連生団信」の場合には連帯債務者も対象
特に、一般的な収入合算と比較して、ペアローンでは双方が住宅ローン控除を受けることができることや、団体信用生命保険に加入できることで万一のときの安心感が高く、近年では収入合算よりもペアローンを選択する傾向が高くなっています。
ペアローンで知っておきたいポイント
ここではペアローンを利用するうえで、見落としがちなポイントをご紹介します。
〇双方の借入額は均等でなくてよい
実際の借入れでは、収入割合に応じて傾斜をつけているケースが大半です。
借入額を変えるだけでなく、片方の借入年数を短くするといったことも可能なので、ライフプランに合わせた選択をすることができます。
〇35年超の返済期間との組み合わせも可能
金融機関によっては、35年を超える返済期間に設定できる超長期ローンと組み合わせることもできますので、借入額をさらに増やすことができます。
ただし、きちんと返せる計画になっているか慎重に検討することが必要です。
〇金融機関によっては入籍条件なし
ペアの取扱いについては、婚約していれば申込み可能であるところや、事実婚であれば申込み可能など、金融機関ごとに違いが大きいので、申込み時に確認することが大切です。
婚約状態で申込み可能な場合でも、手続きには自治体が発行する婚約証明書などが必要になることもあります。
ペアローン連生団信の登場
ここまでみてきたように、ペアローンは物件価格が高騰しているなか、有力な選択肢となる商品ですが、家計における住宅ローン返済の負担感は大きくなるのが実情です。
近年ではペアローン利用者の増加に伴い、片方の死亡によって残された人から、家計を維持しながら返済を続けていくことの大変さや不安の声が挙がっていました。
このような利用者からの意見を汲んで、2024年6月に大手ネット銀行が導入したのを皮切りに、複数の銀行で「ペアローン連生団体信用生命保険」の取扱いが開始されました。
この商品は、ペアローン利用者のいずれか一方に万一のことがあった際、双方とも住宅ローンの借入残高がゼロになる仕組みです。死亡や高度障害だけでなく、「がん保障特約」を備えた商品なども登場しています。
以前より、一般の生命保険を用いた対応策はありましたが、住宅ローン手続きの延長で加入でき、双方ともに債務が免除される安心感が評価されているようです。
まだまだ取扱い金融機関が少ないのが実情ですが、今後も商品ラインナップの増加を伴いながら、広がりを見せていくことが期待されます。
ペアローン利用における留意点
最後に、ペアローンを利用するうえで、意識しておきたいポイントをご説明します。
〇ライフプランを明瞭化する
双方が返済責任を負うため、転勤や転職への対応方針など、将来設計ができているか見直すことが重要です。
また、産休や育休からの復職など、子育てと仕事の両立について、夫婦でしっかり話し合っておくことが大切です。
〇預貯金を確保する
世帯年収に対する返済負担率が高くなりやすいため、想定外の離職や収入減の際、返済に充てられる資金を確保しておくと安心です。
単独ローン時のように、片方が働いてカバーするという方策がとれないため、預貯金の確保がより重要になってきます。
ペアローンは一般的な単独の住宅ローンと異なり、双方がそれぞれ契約を結ぶことになるため、双方が責任を持つことを求められます。
相手方の返済が滞るリスクを抱えていることを認識し、お互いが協力して返済を続けていく姿勢が大切になるでしょう。
