住まいのライフサイクルコストを考える

住宅のライフサイクルコスト(Life cycle cost,LCC)は、建設から解体に至るまでの総費用(生涯費用)を示すものです。
住宅を建設する際には、高額な建設費用(初期費用,Initial cost)が必要となります。
建設の際に,耐久性の低い構法や低品質の材料・部材を採用すると,仕上げ材や柱や梁などの構造材等が劣化(腐朽・蟻害,腐食)し、住宅全体の耐久性にも影響を及ぼすことがあります。その場合は、築後年数が少なくても大きな補修や建て替え等の費用が必要になることがあります。
また、断熱・気密性能が低い場合は,光熱費が高額になることがあります。
住宅の建設費用等のイニシャルコストだけではなく,ライフサイクルコストやライフプラン(人生設計)も考えて,費用対効果(コストパフォーマンス)の高い住宅を計画することが重要です。

参考サイト

ライフサイクルコストのわかりやすい例(数字は全てイメージ)

例えば、50歳の人が同じようなプラン・規模・立地の2つの住宅のいずれかを購入しようと考えているとしましょう。

  • 〇〇不動産の住宅は3000万円
  • ■■ハウスの住宅は3500万円

両方の住宅に対して甲乙つけがたいほど、同じ価値を見出せるとすれば、「〇〇不動産の住宅の方が500万円得である」と判断できます。

見本のグラフ「〇〇不動産の購入住宅は3000万円。■■ハウスの購入住宅は3500万円。」

次に、この人が80歳までの30年間、この住宅に住み続けたとします。30年間の長い時間の中で、一見同じ価値をもつように見えた両方の住宅に違いが出ました。■■ハウスの住宅は、とても強くて耐久性のある材料を色々な箇所に使用していたために、修繕があまり必要ではなく、修繕費が少額だったとしましょう。

  • 〇〇不動産の住宅は30年間に1200万円
  • ■■ハウスの住宅は30年間に500万円
見本のグラフ「〇〇不動産の購入住宅は30年間に1200万円増、■■ハウスの住宅は30年間に500万円増」

台風で壊れた部分を修理したり、何度も外壁を塗りなおしたりしている内に、30年間という単位で見れば、当初はお得と思われた〇〇不動産の住宅は、実は200万円も費用がかさみます。

もちろん、購入する50歳の時に、例えば3000万円の現金を所有していて、〇〇不動産の住宅であれば、全く借金をしないで購入できる、あるいは長い時間の中での経済状況や紙幣価値の変化など、実際にはこのような単純な話にはならないのですが、ライフサイクルコストの考え方はこのようなものです。

※ライフサイクルコストの考え方は、商業施設などの建物の費用を考える時に、重視されてきたものです。実際にこのような商業施設ビルなどでは、これまでの様々な研究によれば、建物の生涯に必要な費用のうち、初期費用(イニシャルコスト)と言われる建築コストは、わずか20%以下と言われています。