住まいの設計・計画をする時には、建築基準法には構造安全・防火安全等の規定が定められていますが、直接「防犯」に関する規定はありません。しかし、治安の悪化により防犯への意識が急速に高まり、マンションの防犯に関して、さまざまな施策が実施されています。
防犯優良マンション認定基準
(財)全国防犯協会連合会及び(社)日本防犯設備協会が、防犯上優れたマンションを認定する全国統一の「防犯優良マンション標準認定基準」を制定しています。各都道府県の認定機関が、この認定基準を基本として、認定を申請するマンションの審査を行い、基準に適合したマンションに、認定証が付与され、広く一般に公表されます。
防犯優良マンション登録認定機関(2020.05.20更新)
都道府県名 | 機関分類 | 認定機関名称 | 登録番号 |
---|---|---|---|
埼 玉 | 住宅関係 | 一般財団法人 さいたま住宅検査センター | H02埼玉 |
防犯関係 | 一般社団法人 埼玉県防犯設備士協会 | C02埼玉 | |
神奈川 | 住宅関係 | 一般財団法人 神奈川県建築安全協会 | H01神奈川 |
防犯関係 | 公益社団法人 神奈川県防犯協会連合会 | C01神奈川-a | |
愛 知 | 住宅関係 | 一般財団法人 愛知県建築住宅センター | H01愛知 |
防犯関係 | 公益社団法人 愛知県防犯協会連合会 | C01愛知 |
参考サイト
防犯優良マンションのイメージ
共用部分
- 共用玄関は、見通しが確保された位置に配置
- 共用玄関には、オートロックシステムを設置
- エレベーターホールは、共用玄関又は管理人室等からの見通しを確保
- エレベーターかご内には、防犯カメラを設置
- 共用玄関、共用玄関の存する階のエレベーターホール及び共用メールコーナーの照明設備は、50ルクス以上の照度を確保
- 共用廊下及び共用階段は、乗り越え等による侵入が困難な構造
- 共用廊下及び共用階段の照明設備は、20ルクス以上の照度を確保
- 塀、柵又は垣等を設置する場合は、周囲の死角の原因及び住戸の窓等への侵入の足場とならないもの
- 防犯カメラを設置する場合は、見通しの補完、犯意の抑制等の観点から有効な位置、台数等を適切に配置
専用部分
- 住戸の玄関は、防犯建物部品等の扉及び錠を設置
- 住戸の玄関扉は、ドアスコープその他外部の来訪者を確認できるものを設置
- 住戸内には、住戸玄関の外側との間で通話が可能な機能等を有するインターホンを設置
- 共用廊下に面する住戸の窓は、防犯建物部品等のサッシ及びガラス、面格子その他の建具を設置
- 住戸のバルコニーは、縦樋、階段の手摺等を利用した侵入が困難な位置に配置
独自基準等による類似制度
全国統一の基準による認定制度をスタートさせた3つの県(埼玉・神奈川・愛知)以外にも、統一基準の制定以前から、独自の基準により、先行的に認定制度をスタートさせていた自治体があります。平成10年から取り組んでいた広島県をはじめ、東京都、兵庫県、大阪府、静岡県、千葉県、岐阜県、京都府、愛媛県、大分県、北海道などです。
認定を受けていないマンションが必ずしも防犯に弱いとは限りませんが、この基準を参考に住人の皆さんが防犯意識を高め、お互いに助け合って安全を確保していこうとすることによって形成される「新たなコミュニケーション」が大切です。安全をキーワードに固く結ばれた絆は、防犯という枠を超えた「住みよいマンション」への第一歩となっていくでしょう。