ここでは、区分所有される分譲マンションの管理の適正化及び建て替え等の促進に関する制度等の整備状況等に関する情報提供を行います。
マンションと管理

マンションの管理の現状と課題
①維持管理等の方針を決める際には、管理組合が意識・価値観・経済力等が異なる区分所有者間の合意形成をする必要があります。
しかし、築40年を超えたマンションは、現在81万戸、10年後には約2.4倍の198万戸、20年後には約4.5倍の367万戸となるなど、今後、建物の老朽化や管理組合の理事などの担い手不足が顕著になるなどの問題を抱えたマンションが増加することが予想されています。

②管理組合の役員や区分所有者の多くは、建物の維持管理等に必要な専門的知識や経験を持っていないことが多く、このことが、維持管理等の合意形成が難しくなる原因の一つとなっています。
特に、タワーマンションなどマンションの大規模化や高層化により、マンションの維持管理は複雑化し専門知識が必要となり、管理組合の合意形成をさらに困難にしています。
③適切な長期修繕計画の不足や修繕積立金の不足等により必要な修繕がなされないマンションが増えることが懸念されます。

④既存住宅流通量の増加することによって、管理状況等に対する情報の提供が求められることが増えています。管理状況等がマンションの価値を左右することがあります。
マンションの建て替え等の現状と課題
マンションの老朽化によって、居住者ばかりでなく、近隣住民等の生命・身体に危険が生じるおそれがあります。旧耐震基準により建設されたマンションは、現在104万戸あると言われています。
旧耐震マンションの中には、地震に対する安全性に不安のあるものや、老朽化の問題を抱えているものが多く含まれています。新耐震基準に適合したマンションであっても高経年化することによって、基本的なところの機能に不具合があっても、改修等が困難なマンションがあり、老朽化による問題のあるマンションが増加することが考えられます。
これらのマンションでは、建て替えを検討することが必要となることがありますが、建て替えには次のような課題があります。


①建て替え事業の対象となるマンションでは、容積率に余裕のないマンションが多く、容積率の余剰分を売却することが難しく、事業採算性が低下する傾向があります。このようなマンションでは、区分所有者の経済的負担が大きくなります。
②大規模団地型マンションが高経年化した場合は、入居者が同時期に高齢化することがあります。区分所有者の多くが高齢者となった場合、建て替えに向けた合意形成が一層の困難になることが考えられます。
大規模な団地型マンションでは、建て替え等の再生を行うための多様な手法を検討する必要があります。


適切なマンション管理と建て替えの促進のための制度等の整備
参考サイト
マンションの管理の適正化の推進に関する法律の改正によるマンションの管理の適正化の推進
(1)既存マンションの管理計画認定制度
- 長期修繕計画の計画期間が一定以上あること
- 長期修繕計画に基づき修繕積立金が設定されていること
- 総会を定期的に開催していること
- 管理適正化指針・市町村の管理適正化指針に照らして適切に管理されていること 等

(2)新築マンションを対象とした予備認定制度(令和4年4月1日制度開始)
新築時点から適正な管理がなされるマンションを増やすために、法律に基づく管理計画認定制度と併せ、一定の基準を満たす新築マンションを対象とした認定制度が作られました。
※地方公共団体の推進計画作成の有無を問わず、全国で認定を可能とする仕組みとする。(令和7年度以降を目途に、推進計画が作成されている地方公共団体の区域に限り、予備認定の申請を可能とする予定)
※認定は公財マンション管理センターが行う。

(3)管理適正化のための指導・助言等
管理の適正化のために、必要に応じて、管理組合に対して指導・助言等を行い、管理組合の管理運営が著しく不適切である場合は、勧告することができます。
管理・運営が不適切なマンションの例- 管理組合の実態がない
- 管理規約が存在していない
- 管理者等が定められていない
- 集会(総会)が開催されていない
マンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律の改正によるマンションの再生の円滑化の推進
(1)マンションの敷地売却制度の対象拡大(令和3年12月20日施行)
一般的には、区分所有者の全員合意がなければ、マンション及び敷地を売却することはできませんが、この制度では区分所有者の議決権及び敷地利用権の持ち分価格の5分の4以上の議決により売却することができます。
敷地売却制度の対象となるマンションは、特定行政庁の要除却認定(※)が必要となります。認定の対象は、法律の改正前に対象となっていた耐震性能が不足するマンションに加え、外壁の剥離等により危害を生じる恐れがあるマンション等が追加されました。
(2)容積率の緩和特例の適用対象の拡大(令和4年4月1日施行)
容積緩和の特例を適用すると、建て替えの際に容積率の余剰分を売却して事業採算性を向上させて区分所有者の経済的負担の軽減を図ることや、床面積や部屋数を増やすことなどができる場合があります。
容積緩和特例の適用となるマンションは、特定行政庁の要除却認定(※)が必要となります。認定の対象は、法律の改正前に対象となっていた耐震性能が不足するマンションに加え、外壁の剥離等により危害を生じる恐れがあるマンションや給排水管の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれのあるマンション、バリアフリー性能が確保されていないマンション等が追加されました。
(3)団地における敷地分割制度の創設(令和4年4月1日施行)
そのような場合には、団地内で住棟や区画ごとに再生の時期を分けることや異なる再生手法を選択する必要があります。
法律改正により、住棟や区画ごとの建替え・敷地売却の要望に応じ、一部棟を残し敷地を分割することが可能になりました。
団地の敷地を分割するためには、耐震性不足や外壁の剥離等により危害を生じる恐れがあるマンション等で、特定行政庁の要除却認定(※)を受け、敷地共有者の4/5以上同意を得ることが必要となります。

※要除却認定は、特定行政庁(建築主事を置く市町村および特別区にあってはそれぞれの長、その他の市町村および特別区では、都道府県知事を指す。)が行う。
除却の必要性に係る認定 【法102条】 |
容積率緩和 の特例 【法105条】 |
マンション 敷地売却事業 【法108条~】 |
団地における 敷地分割事業 【法115条の4~】 |
|
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特定要除却認定 | 耐震性の不足 【法102条2項1号】 |
〇 | 〇 | 〇 |
火災に対する安全性の不足 【法102条2項2号】 |
〇 | 〇 | 〇 | |
外壁等の剥落により周辺に 危害を生ずるおそれ 【法102条2項3号】 |
〇 | 〇 | 〇 | |
給排水管の腐食等により著しく 衛生上有害となるおそれ 【法102条2項4号】 |
〇 | ー | ー | |
バリアフリー基準への不適合 【法102条2項5号】 |
〇 | ー | ー |
赤字は法律改正により拡充・新設
専門家・専門機関の活用の促進
また、マンションの再生の円滑化を推進するためには、専門家の育成、専門機関と連携した相談体制の強化を推進することが求められます。
一般社団法人再開発コーディネーター協会では、老朽化したマンションについての各種相談に対応するため、協会内に「マンション建替相談室」を開設しています。また 全国各地の相談に対応するため、各地域のアドバイザーと連携して「マンション建替 えアドバイザーネットワーク」を構築しています。
また、東京都にも同様の窓口がありますので、下記の参考サイトをご確認ください。
相談日 | 月曜日~金曜日 (祝祭日休日を除く) |
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受付時間 | 10:00~16:00 |
住所 | 〒105-0014 東京都港区芝2-3-3 芝二丁目大門ビルディング7階 |
TEL | 03-6400-0261 |
FAX | 03-3454-3015 |
mansion@urca.or.jp |
参考サイト
住宅金融支援機構による支援等
フラット35維持保全型の対象追加
令和4年4月より、「管理計画認定マンション(既存)」、「予備認定マンション (新築)」が対象になりました。
マンション共用部分リフォーム融資の金利引下げ
マンションすまい・る債における利率上乗せ制度の創設(令和5年度募集分より)
「大規模修繕の手引き」の作成
