住まいの結露対策と水蒸気

住まいの結露は、温かい空気中に含まれる水蒸気が、表面の温度が低くなりやすい窓面や、暖房しても暖かくなりにくい押し入れの中、タンスの後の壁面などに触れることによって水滴となる現象で、そのまま放っておくとカビの発生などによって、建物を傷める原因になることがあります。
住まいの結露対策では、室内で発生する水蒸気を抑えることと、それを換気などによって外に排出することが大切です。そのことが、住まいの寿命を延ばすことになります。

室内で発生する主な水蒸気と結露対策

室内で発生する主な水蒸気と結露を防止するための方法は、以下の通りです。

暖房器具

暖房器具には、燃焼ガスを室内に放出してしまう開放型と、燃焼ガスを屋外に排出する密閉型の2タイプがあります。
暖房器具の燃焼ガスには大量の水蒸気が含まれています。例えば、開放型の石油ファンヒーターは1リットルの灯油を燃焼させると約1リットルの水蒸気を室内に放出すると言われています。また、都市ガスやプロパンガスを燃料とした場合でも、同様に大量の水蒸気を発生します。
結露の対策をするためには、開放型の暖房器具は置かないようにすることが効果的です。

洗濯物

洗濯物が乾く時に放出される水蒸気も結露の原因となります。
乾燥機を使う場合や室内に干す場合は、換気扇を用いることや、窓を開けて水蒸気を屋外に排出することが必要です。

加湿器

加湿器は水蒸気を発生させますので、市販の加湿器を使う場合は湿度の上がりすぎに注意して、湿度は40~50%程度に調整しましょう。また、温度のチェックも必要です。部屋の温度が高すぎると乾燥感があるので、必要以上に加湿してしまう場合があります。

押入れ

押し入れの中は空気の対流が少なく、湿りやすいものです。ときどきは扉を開けて空気を入れ替えましょう。布団などはスノコの上に乗せ、壁から少し離すなど、空気が流れやすいように配慮することをおすすめします。
ふとん等に含まれた湿気が水蒸気となり放出されるので、ふとんをこまめに干しましょう。また、押入れは乾燥剤や除湿器で湿気を取ることも必要です。
同様に家具も壁から少し離し、空気の通り道をつくっておきます。ときどき扇風機で風を送るのもよい方法でしょう。

納戸

納戸やウォークインクローセットのような部屋は、閉め切っているため水蒸気が滞留しています。窓やガラリ戸がある場合は開けることを心がけましょう。また、扇風機等で空気の流れをつくることが効果的です。

その他

さまざまな生活のなかからも水蒸気は発生します。調理や洗面や入浴等からも水蒸気を放出しています。
人は静止した状態でも常に皮膚から汗をかくことにより、多くの水蒸気を放出しています。
熱帯魚などの水槽、観葉植物等からも水蒸気が放出されています。

室内の水蒸気を排出するための換気等

暮らし方や住まい方を少し工夫するだけで、水蒸気の発生を抑えることができます。しかし、水蒸気の放出をすべて止めることはできません。余分な水蒸気を、こまめに外に排出する工夫が必要になります。そこで、換気によって室内の水蒸気を屋外に排出する方法を以下にまとめました。

居室

24時間換気システムを設置した住宅、高気密・高断熱の住宅でも窓を開けてはいけないわけではありません。爽やかに晴れた日には窓を開け、乾いた風を家のすみずみまで送りましょう。
窓から換気する際に、外気を取り入れる窓は15㎝くらい細く開け、空気の出口となる窓は全開にすると空気が勢いよく入ってきます。(誘引現象)
冬は暖房で暖まった部屋に冷気を入れることには抵抗があります。寒い時期にできる換気の方法について、厚生労働省では以下のポイントを紹介しています。参考にしながら工夫して、上手に換気をおこないましょう。
  1. 暖房器具の近くの窓を開け、入ってくる冷気を暖めることで室温の低下を防ぎましょう。
  2. 窓を全開にするより、一方向の窓を少しだけ開けて、常時換気をおこなうことで室温変化を抑えましょう。
  3. 人がいない部屋の窓を開け、廊下を経由して、少し暖まった状態の新鮮な空気を人のいる部屋に取り入れることも、室温を維持するために有効です。

参考サイト

浴室

入浴は多量の水蒸気を発生させます。浴室の換気は十分に行いましょう。入浴の後は浴槽にフタをして、浴室のドアをきちんと閉め、湿気を他の部屋に移さないようにしましょう。また、浴室使用後は、窓を開けることや、換気扇を回して換気することをおすすめします。換気扇を回す時は、浴室のドアを少し開けた方が効果的です。

台所

調理中は、炊事の鍋などから出る水蒸気のほか、ガスの燃焼によっても多量の水分が発生します。調理中は必ず換気しましょう。また、調理後も30分程度回すようにすると効果的です。

参考サイト

窓ガラスに発生した結露の掃除方法等

住まいの中でも特に結露しやすい場所は、窓ガラスです。
特に暖房時は、暖房で暖かくなった室内の水蒸気が、外気で冷えた窓ガラスなどにあたって冷やされると、空気中に含むことができなくなった水蒸気が水滴となり結露が発生します。室内外の温度差が激しいと発生しやすくなります。

窓ガラスに発生した結露の掃除方法

窓ガラスにについた結露をとるには、乾いた布類で、しっかり水滴を拭き取ります。その際、スクイージーや窓用ワイパー等を使うと結露による水滴を比較的容易に取り除くことができます。掃除の際には、タオルを下に敷いて水滴を吸い取りましょう。

※家庭で使われるスクイージーは、手持ちサイズの窓用スクイージーが多いと思います。これはガラスの表面から洗浄液や水を取り除くために使われます。スクイージーには、反対側にスポンジの付いたものもあり、これはバケツの石鹸水を吸い取らせて汚れた窓を洗うのに使います。

窓まわりのカビ予防方法

窓まわりのサッシやパッキン部分にホコリや汚れが付いていると、その汚れを栄養源にカビが発生する恐れがあります。
カビ予防には、ふだんから窓サッシやゴムパッキン部分などに付いた水滴なども念入りに拭き取りましょう。

参考図書

室内の水蒸気と空気をコントロールに関することは、住宅金融普及協会発行の「住まいの管理手帳」にも掲載されています。(戸建て編:P.19~24 マンション編:P.26~28、63)