住宅などの財産だけでなく命をも奪う恐ろしい火災。住宅火災によって、毎年約1000人の方が亡くなっています。その半数が「逃げ遅れ」によるものです。また、亡くなった方の約7割を65歳以上の高齢者が占めています。住宅火災の発生や逃げ遅れを防ぎ、いのちを守るために、日頃から取り組む必要があることを紹介します。
住宅火災はどのくらい起きているの?
令和4年(2022年)に起きた住宅火災(住宅で起きた火災)は1万1,411件、亡くなった人は972人です(放火自殺者等を除く)。そのうち約75%にあたる731人が65歳以上の高齢者です。
また、住宅火災で亡くなった理由をみると、病気や体が不自由なために逃げ遅れたり、熟睡していたために逃げ遅れたりするなど、「逃げ遅れ」が全体の約半数を占めています。
また、住宅火災で亡くなった理由をみると、病気や体が不自由なために逃げ遅れたり、熟睡していたために逃げ遅れたりするなど、「逃げ遅れ」が全体の約半数を占めています。
住宅火災による経過別死者発生状況(放火自殺者等を除く)(令和4年中)

(提供:消防庁)
住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く)(令和4年中)

(備考)「火災報告」により作成
(提供:消防庁)
住宅火災から命を守るには?
住宅火災の発生を防ぎ、火災から命を守るために消防庁では、「住宅防火いのちを守る4つの習慣と6つの対策」として、住宅防火いのちを守る10のポイントを紹介しています。
火災の発生を防ぐための4つの習慣
- 寝たばこは絶対にしない、させない。
- ストーブの周りに燃えやすいものを置かない。
- こんろを使うときは火のそばを離れない。
- コンセントはほこりを清掃し、不必要なプラグは抜く。
被害を抑え人命を守る6つの対策
- 火災の発生を防ぐために、ストーブやこんろ等は安全装置※の付いた機器を使用する。
- 火災の早期発見のために、住宅用火災警報器を定期的に点検し、10年を目安に交換する。
- 火災の拡大を防ぐために、部屋を整理整頓し、寝具、衣類及びカーテンは、防炎品を使用する。
- 火災を小さいうちに消すために、消火器等を設置し、使い方を確認しておく。
- お年寄りや身体の不自由な人は、避難経路と避難方法を常に確保し、備えておく。
- 防火防災訓練への参加、戸別訪問などにより、地域ぐるみの防火対策を行う。

(画像:消防庁)
※安全装置
- コンロの安全装置「Siセンサー」は、2008年からすべてのガスコンロへの搭載が法令で義務付けられており、火災の原因となりやすい消し忘れや加熱しすぎを自動で防いでくれる、安全・安心機能です。
- 石油ストーブ(ファンヒーターを含む)(灯油の消費量12KW以下(開放燃焼式で自然通気形は7KW以下))の安全装置は、不完全燃焼防止装置、一酸化炭素濃度基準値遵守、給油時消火装置(カートリッジ給油式ストーブ)等が法令で義務付けられています。
ストーブや電気器具など、身近な製品にもご注意を。
住宅火災の火元として、令和4年に発生した火災では1位「電気器具」のほか、3位「ストーブ」、4位「こんろ」と身近な製品が続いています。これらの製品では、長期間使用したことによる部品の劣化や誤った使い方をしたことなどによって発火し、近くの衣類や布団などの可燃物に燃え移って火災になる場合があります。
住宅火災を防ぐために、ストーブやこんろの周りに燃えやすいものを置かないことや、コンセント周りはほこりを清掃し、たこ足配線をしないことなどを習慣づけましょう。また、消し忘れや誤作動を防ぐための安全装置や過熱防止装置が付いた製品、転倒時に自動的にスイッチが切れる機能が付いた製品を使うようにしましょう。
住宅火災を防ぐために、ストーブやこんろの周りに燃えやすいものを置かないことや、コンセント周りはほこりを清掃し、たこ足配線をしないことなどを習慣づけましょう。また、消し忘れや誤作動を防ぐための安全装置や過熱防止装置が付いた製品、転倒時に自動的にスイッチが切れる機能が付いた製品を使うようにしましょう。
逃げ遅れを防ぐ住宅用火災警報器
火災で亡くなる原因で最も多い「逃げ遅れ」を防ぎ、火災から命を守るために、火災の発生を感知し知らせる「住宅用火災警報器」の設置がすべての住宅に義務付けられています。
住宅用火災警報器は、熱や煙を感知して、火災の発生を警報音や音声で知らせるものです。住宅内で火災が発生したことを早期に感知して住宅内の人に知らせることで、初期消火や避難などを素早く行えるようにします。
令和元年から令和3年までの3年間で、住宅用火災警報器の設置効果を分析した結果、死者数、損害額は概ね半減、焼損床面積は約6割減となっています。住宅用火災警報器を設置することで、火災発生時の死亡リスクや損失の拡大リスクを大幅に減少させることができます。
住宅用火災警報器は、熱や煙を感知して、火災の発生を警報音や音声で知らせるものです。住宅内で火災が発生したことを早期に感知して住宅内の人に知らせることで、初期消火や避難などを素早く行えるようにします。
令和元年から令和3年までの3年間で、住宅用火災警報器の設置効果を分析した結果、死者数、損害額は概ね半減、焼損床面積は約6割減となっています。住宅用火災警報器を設置することで、火災発生時の死亡リスクや損失の拡大リスクを大幅に減少させることができます。
住宅用火災警報器の設置効果(令和元年から令和3年までの3年間)



注1) 「死者」とは、火災現場において火災に直接起因して死亡した者であり、火災により負傷した後48時間以内に死亡した者を含む。
注2) 死者の発生した経過が「殺人・自殺」(放火自殺、放火自殺者の巻添者、放火殺人の犠牲者)であるものを除く。
住宅用火災警報器の設置
住宅火災警報器は、「寝室」と「寝室がある階段の上部」に設置する必要があります。次の図を参考に、適切な場所に住宅用火災警報器を設置してください。
住宅用火災警報器の設置場所(例)

※設置場所の詳細については、市区町村ごとに条例によって定められていますので、お住いの市区町村にご確認ください。「台所」や「リビング」などの場所にも義務付けられている場合があります。
住宅用火災警報器は、ホームセンターや家電量販店、メーカーのウェブサイトなどで購入できます。住宅用火災警報器を購入するときには、感度やブザーの音量などが基準に合格したマークが付いた製品を目印にしましょう。

住宅用火災警報器の定期点検と交換
住宅用火災警報器を適切な場所に設置しても、万一の時にきちんと作動しないと意味がありません。取扱説明書に従い定期的に点検(少なくとも年に2回)をして、正常に作動することを確認し、もし正常に作動しない場合は住宅用火災警報器を交換しましょう。点検は下図のような方法で行うことができます。詳細は取扱説明書などをご確認ください。
住宅用火災警報器の点検方法
住宅用火災警報器は電子機器の一種ですので、製造後、長い期間が経過すると部品が劣化したりして正常に作動しなくなることがあります。電池切れの際に、設置から10年以上経過している場合は、本体の交換をお奨めしています。
本体の交換をする際は連動型住宅用火災警報器や、CO警報機能付き住宅用火災警報器など、付加的機能がある機器に交換することが効果的です。
本体の交換をする際は連動型住宅用火災警報器や、CO警報機能付き住宅用火災警報器など、付加的機能がある機器に交換することが効果的です。

※警報音はメーカーや製品により異なります。

※それでもならない場合は「電池切れ」か「機器本体の故障」です。取扱説明書をご覧ください。
初期消火に役立つ住宅用消火器等の設置
住宅用消火器は、一般家庭で使いやすいように開発された消火器で、軽量で、お年寄りや女性などでも使いやすく、火元をねらいやすくなっています。
家庭で起こり得る火災には、紙や木材、布などが燃える「普通火災」のほか、天ぷら油で起こる「天ぷら油火災」、電気コードなどで起こる「電気火災」、石油ストーブなどで起こる「ストーブ火災」などがあります。住宅用消火器には、適応する火災が絵で分かりやすく表示されていますので、必要な用途に合わせて、住宅用消火器を選びましょう。


また、消火器の補助的な役割を果たすエアゾール式簡易消火具も、家庭内で発生する天ぷら鍋の油の過熱による発火、石油ストーブの注油中の引火による火災、火の不始末によるくずかごの火災などの比較的初期段階の火災に有効です。
住宅用消火器は、使用期限がありますので、定期的に交換するようにしましょう。住宅用消火器は一般廃棄物として出すことはできません。
住宅用消火器は、使用期限がありますので、定期的に交換するようにしましょう。住宅用消火器は一般廃棄物として出すことはできません。

参考サイト
関連動画サイト
参考図書
火災に安全な住まいに関することは、住宅金融普及協会発行の「住まいの管理手帳」にも掲載されています。(戸建て編:p.36~37、マンション編:p.22~23)