「住宅性能評価書」とは

国土交通大臣に登録した第三者評価機関が全国共通ルールのもと、住宅の性能を公平な立場で評価し、その結果を表示した書面です。一般財団法人 住宅金融普及協会も、第三者評価機関の1機関です。
住宅の性能については、10の分野を、等級や数値※1などで表示しています。

※1 住宅性能表示の項目は原則として等級で表現され、数字が大きいほど性能が高いことを表しています。(各項目により最高等級は異なります。)
ただし、すべて最高等級を取得することが優れているとは言えません。ライフスタイルや建築地の環境などを総合的に考え、“この性能は高く・低く”というように、その住まいの最適な性能を考えましょう。
なお、もともと建築基準法で定められている性能項目については、建築基準法の水準を等級1としています。

※2 住宅性能評価に併せて長期優良住宅に係る長期使用構造等の確認が申請された場合は、その結果を表示します。

「住宅性能評価書」は2種類あります

設計時の図面から評価結果をまとめた「設計住宅性能評価書」と施工中・竣工時に数回に渡る現場検査と検査結果からまとめた「建設住宅性能評価書」の2種類があります。

消費者の住宅選びのために生まれた法定制度です

この制度は、完成してからでは確認できない部分を、国(国土交通大臣)に登録した第三者評価機関が消費者の立場で厳しい検査を行う「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に定められた法定制度(申請任意)です。

住宅性能評価書のメリット

「建設住宅性能評価」の交付を受けた住宅は、万が一、売主との間で売買契約以外に関するトラブルが生じても、弁護士・建築士による住宅専門の指定住宅紛争処理機関を、比較的安値(1万円/件)で利用できることとなっています。

「住宅性能評価書」では10項目について評価します。

  1. 地震などに対する強さ(構造の安定)

    地震などが起きた時の倒壊のしにくさや損傷の受けにくさを評価します。等級が高いほど地震などに対して強いことを意味します。

    等級1でも、建築基準法を満たす住宅なので、大地震が起きても倒れてしまうことはまずありませんが、性能表示制度を使うと、評価機関が建築工事を検査するので、ミスや手抜き工事の防止に役立ちます。

    このほかにも、強風や大雪に対する強さに関する評価もあります。

  2. 火災に対する安全性(火災時の安全)

    住宅の中で火事が起きたときに、安全に避難できるための、燃え広がりにくさや避難のしやすさ、隣の住宅が火事のときの延焼のしにくさなどを評価します。

  3. 柱や土台などの耐久性(劣化の軽減)

    年月が経っても土台や柱があまり傷まないようにするための対策がどの程度されているかを評価します。等級が高いほど柱や土台などの耐久性が高いことを意味します。

    木造の場合は主に土台や柱が腐らないようにするための対策、鉄筋コンクリート造の場合は主に柱や梁のコンクリートがもろくならないための対策、鉄骨造の場合は主に鉄の部分が錆びにくくする対策を評価します。

  4. 配管の清掃や補修のしやすさ、更新対策(維持管理・更新への配慮)

    水道管やガス管、排水管といった配管類は一般に構造躯体の修繕などを実施するよりも早く取り替える必要があります。

    そこで配管の点検や清掃のしやすさ、万一故障した場合の補修のしやすさなどを評価します。等級が高いほど配管の清掃や補修がしやすいことを意味します。

    また、共同住宅等については、排水管が寿命となった際、新しい排水管に更新する工事のしやすさや、間取り変更のしやすさの情報として、躯体の天井高等の評価、表示もします。

  5. 省エネルギー対策(温熱環境・エネルギー消費量)

    暖房や冷房を効率的に行うために、外皮(壁や窓など)の断熱などがどの程度されているかまた、設備(暖冷房、換気、給湯、照明)や創エネルギー(太陽光発電など)を総合的に評価します。等級が高いほど省エネルギー性に優れていることを意味します。

  6. シックハウス対策・換気(空気環境)

    接着剤等を使用している建材から発散するホルムアルデヒドがシックハウスの原因のひとつとされているため、接着剤を使用している建材などの使用状況を評価します。

    建築工事が完了した時点で、空気中のホルムアルデヒド等の化学物質の濃度などを測定することも可能です(ただし、測定はオプションです)。

    また、住宅の中で健康に暮らすためには適切な換気が必要なので、どのような換気設備が整えられているかについても評価します。

  7. 窓の面積(光・視環境)

    東西南北及び上方の5方向について、窓がどのくらいの大きさで設けられているのかを評価します。

  8. 遮音対策(音環境)

    主に共同住宅の場合の評価項目で、上の住戸からの音や下の住戸への音、隣の住戸への音などについて、その伝わりにくさを評価します(この評価項目はオプションです)。

  9. 高齢者や障害者への配慮(高齢者等への配慮)

    高齢者や障害者などが暮らしやすいよう、出入り口の段差をなくしたり、階段の勾配を緩くしたりというような配慮がどの程度されているかを評価します。

  10. 防犯対策

    外部開口部(ドアや窓など)について、防犯上有効な建物部品や雨戸等が設置されているかの侵入防止対策を評価します。