会社員Fさんは、手狭になった今の家を売って、広い家に買換えたいが、今の家を査定に出したところ、住宅ローン残高のほうが売却価格より多いので、住宅ローンを組めるか心配している。
- 家族構成:
- 会社員Fさん(38歳)Fさん妻(専業主婦、35 歳)、子ども2人(5歳、1歳)
- 年収:
- 750万円
- 貯蓄額:
- 1000万円
- 子供の進路:
- 公立中心、大学は私立
- 物件概要:
- 売却する自宅 マンション70㎡、売却予定価格 2500万円(住宅ローン残高 2800万円)
購入希望物件 中古マンション84㎡、価格 3200万円 - 借入希望額:
- 借入額3100万円~3700万円(最初は期間30年程度で組み、後で繰上返済して定年までに完済を希望)
Fさんが利用できる住宅ローンは何か?
自宅の担保割れ分の額を貯蓄で補うケース
自宅の売却価額が自宅の住宅ローン残高より少ない場合、そのままでは抵当権を抹消できないので、通常預貯金等を充当することが必要になってくる。
自宅の担保割れの額を貯蓄で補わないケース
仲介手数料などの諸費用や生活予備費などを確保するため、預貯金等を大きく取り崩すことなく買換えを実現させたい場合は、一部の民間金融機関で取り扱っている買換え住宅ローンが候補となる。
ただし、買換え住宅ローンは原則として抵当権の抹消と設定を同時にすることから、同じ不動産会社において売却と購入を同時に進行させることが必要である。
①自宅の担保割れ分の額を貯蓄で補えるケース
Fさんのケースでは、担保割れ分と諸費用を含め500万円以上の自己資金を準備することができれば、新たに購入する物件について通常の住宅ローンを組むことができる。
預貯金が十分でない場合、買換え後の住宅ローンが変動金利型や短期の固定金利期間選択型では金利上昇リスクに対応できない可能性がある。
借換えを行うにあたっては、十分な預貯金等及び頭金が準備できない場合には、全期間固定金利型を含め、長期の固定金利期間選択型を選択することが重要である。
現在の自宅の状態

担保割れ分の額を貯蓄で補えるケース:通常の住宅ローンを利用

②自宅の担保割れの額を貯蓄で補えないケース
買換え物件の担保評価の1.5倍、2倍といった水準まで融資を可能としている買換え住宅ローンが候補になる。担保評価以上の借入はオーバーローンといわれるが、この住宅ローンの仕組みは金融機関ごとに異なる。
- 1本のローンで買換え物件の住宅ローンと担保割れ分の補てんをするタイプ
⇒売却と購入を同時に進行させ、抵当権の抹消と設定を同時に行うことが必要となる。 - 2本のローンで買換え物件の住宅ローンと諸費用ローン(無担保)を組み合わせるタイプ
⇒住宅ローンはあくまで、買換え物件の担保評価の範囲内で、諸費用の部分が無担保となるので、無担保で借りる部分は金利も高くなる。
担保割れ分の額を貯蓄で補えないケース:買換え住宅ローンを利用

買換え住宅ローンで担保割れ分や諸費用分まで上乗せして借入れをすると、
3,700万円の買換え住宅ローンを組むことになる。
金利2.3%、返済期間30年の場合、毎月返済額は142,376円となる。