夫婦共働きで資金余裕度が高いケース

会社員Bさんは、中古マンション購入を予定している。子どもはいないので、夫婦2人の収入を合わせると、繰上返済をする余裕も十分にあり、返済期間は20年程度にしたいが、短い期間で完済したいと考えている。

家族構成:
会社員B(35歳)、妻(会社員 36歳)
年収:
Bさん850万円、妻300万円
貯蓄額:
1,500万円
住宅取得後の年間貯蓄可能価額:
200万円
物件概要:
中古マンション70㎡、価格3,250万円
借入希望額:
2,600万円

Bさんに合った住宅ローンはどのようなタイプ?

今の年収を維持できること

子どもが生まれる予定はなく、今後も共働きで今の年収を維持できる

住宅ローン返済が始まっても毎年200万円貯蓄できる

資金余裕度が比較的高く、将来の金利上昇に対しても繰上返済などで対応する力があると判断できる。
よって、候補になる住宅ローンは、全期間固定金利型だけではなく、借入当初の金利が低い変動金利型や固定金利期間選択型も選択肢となる。また、返済方式としては、預金残高が増えれば増えるほど住宅ローンの金利が低くなる預金連動型住宅ローンも候補になる。

①3年固定

3年固定は、4年目以降の金利変動にどのくらい耐えられるかが重要になる。Bさんの場合、4年目に店頭金利が4.0%に上昇して毎月返済額が13万円台になったとして、毎年200万円ずつ増やせる預貯金から繰上返済(返済額軽減型)をして借入残高を減らし、毎月の負担を軽くすることができる。

3年固定の場合(当初3年間1.5%、4年目以降店頭金利から1.4%引下げ)

借入額:2,600万円 返済期間:20年

【3年固定の場合のイメージ】毎月返済額は125,461円。金利2.6%で、繰上返済しなければ返済額は137,056円に増加。4年目の金利変動時に約190万円の繰上返済(返済額軽減型)を行えば、毎月返済額は当初3年間と同水準(125,523円)に。
総返済額
繰上返済前:約3,247万円
繰上返済後:約3,202万円

②10年固定

10年固定は、借入れ20年のうち半分の返済期間を固定金利で安定させることができる。
Bさんの11年目の借入残高は、1,417万円なので、店頭金利が4.0%に上昇しても毎月返済額は約5,000円の増加ですむ。

10年固定の場合(当初10年間1.8%、11年目以降店頭金利から1.4%引下げ)

借入額:2,600万円 返済期間:20年

【10年固定の場合のイメージ】毎月返済額は129,081円。金利2.6%で、134,187円に増加。11年目の金利変動時に約54万円の繰上返済(返済額軽減型)を行えば、毎月返済額は当初10年間と同水準(129,072円)に。
総返済額
繰上返済前:約3,159万円
繰上返済後:約3,151万円

③預金連動型住宅ローン

預金連動型住宅ローン(借入残高と預金残高の差額部分にのみ金利が生じる商品の場合)は、Bさんの例で当初預金500万円、毎年200万円貯蓄を増額する場合、仮に金利2.55%が適用されたとすると7年後に預金残高と借入残高が同じとなり、それ以降はどんなに金利が変動しようとも金利負担なしのまま借りられるメリットがある。
着実に貯蓄を増やせる家計で、預金を大幅に使う事態が発生しないなら、繰上返済をしなくても預金をするだけで、金利負担を軽くすることができる。

預金連動型住宅ローン(借入時500万円預金、毎年200万円預金を増やす場合)

借入額:2,600万円 返済期間:20年

総返済額
約2,848万円