将来の教育費負担が重くなるケース

会社員Aさんは、マンション購入を予定しているが、将来収入増はあまり期待できず、妻は当面働く予定はない。また、子どもが2人いて、高校から私立に入れたいと考えており、将来の教育費負担に不安がある。

家族構成:
会社員A(35歳)、妻(34歳 専業主婦)、長男(4歳)、長女(3歳)
年収:
650万円
貯蓄額:
1,300万円
子供の進路:
公立中心、高校は私立、大学まで行かせたい
物件概要:
新築マンション60㎡、価格3,500万円
借入希望他:
借入額2,700万円

現在は年間180万円程度まで住宅ローン返済と繰上返済にあてられる。(教育資金の貯蓄も並行して行える)
教育費がかかるようになると、住宅ローン返済額は140万円程度まで

Aさんに合った住宅ローンはどのようなタイプ?

将来の支出増の時期に無理のない住宅ローンであること

何より優先しなくてはならないのは、12年後の教育費負担が重くなる時期に返済額が無理のない住宅ローンにすることである。そのため、金利タイプは、金利上昇リスクのないものを中心に検討する。

当面の返済は高めでも耐えられる

Aさんは、当面の間住宅ローン返済と繰上返済に年間180万円程度まで充てることができ、かつ教育資金の貯蓄も並行して行える。したがって、繰上返済を行うことに加え、元金均等返済も選択肢に入る。また、同じ金融機関で金利タイプの異なる住宅ローンを2本組み合わせる方法もある。
特に長男(4歳)が私立高校に入学する12年後には、金利上昇リスクがとれなくなるので、全期間固定金利型が候補としてあげられる。また、全期間固定金利型と教育費負担が重くなる前に支払いを終えるもう一本の住宅ローンを組み合わせることも一つの方法といえる。

①全期間固定金利型

全期間固定金利型で借りる例としては、フラット35を利用する。教育費負担が重くなる12年後に無理のない返済とするため、返済期間を長めにして、当初余裕があるうちに繰上返済を行い、期間を短縮する。12年間は3年ごとに4回繰上返済を行う。それによって、返済期間を8年7か月短縮でき65歳までに完済できる。

フラット35の場合(借入額:2,700万円 返済期間:30年)

金利2.3% 38、41、44、47歳時に180万円ずつ繰上返済

「金利2.3% 38、41、44、47歳時に180万円ずつ繰上返済」の様子の図

②2本の住宅ローンを組み合わせる

フラット35を基礎として、教育費負担が重くなる前までに返済し終えられる分だけ財形住宅融資を組み合わせる。一部を低金利で借りられるのがメリットで、総返済額では①より小さくなる可能性がある。
また、①と同様、長女(3歳)の大学卒業後に繰上返済を行えば、期間短縮が可能である。

フラット35(借入額:2,700万円 返済期間:30年)
財形住宅融資(借入額:2,700万円 返済期間:30年)の場合

フラット35:金利2.3%
財形住宅融資:金利1.45%(6年目以降は金利2.0%の場合)

「フラット35:金利2.3%、財形住宅融資:金利1.45%(6年目以降は金利2.0%の場合)」を表した図

③元金均等返済

元金均等返済を利用する場合は、余裕がある当初の返済額に照準をあてるのではなく、教育資金の負担が重くなり始める12年後の返済額を確認して返済期間などを決める。
しかし、返済期間が30年ではAさんが65歳になるまで返済が続いてしまうため、当初の年間180万円程度の返済可能な範囲で6年後、9年後、12年後に約120万円ずつ繰上返済をすると、返済期間は4年短縮できる。さらに長女(3歳)の大学卒業後に繰上返済を行い、返済期間を短縮する。

フラット35の場合(元金均等返済 借入額:2,700万円 返済期間:30年)

金利2.3% 6、9、12年後に120万円ずつ繰上返済

「金利2.3% 6、9、12年後に120万円ずつ繰上返済」を表した図