第3回 固定期間が異なるローン比較

第2回はAPR(Annual Parcent Rate/年換算利回り)を使った同じ固定期間同士での住宅ローンを比較しました。第3回は、固定期間が異なるものを比較する場合について説明しましょう。

金利変動とAPR

APRを使う場合、将来の金利変動について一つのパターンだけで計算しても意味がありません。金利変動によっては、どの住宅ローン商品が有利になるのかの結果が大きく変わってしまうからです。そのため、何パターンか計算した上で、有利になる商品を選択しなければなりません。
しかし、将来の金利変動についてはさまざまなパターンが予測されます。統計的に何通り計算すればよいということはいえても、数が多すぎてすべてについて試算するのは現実的ではありません。

そこで、あえて3つのパターンに絞ってAPRを算出する方法を提案します。
3つのパターンとは、①金利は上がらない ②金利は過去の平均並みに上がる ③金利は過去からみてあり得る範囲で、過去の平均以上に上がる です。この3つのパターンによる分析は、将来の金利変動を予測するものではなく、金利を変化の幅で捉え、各家計にどれくらいの影響があるかを確認するという方法です。

では、早速試算してみましょう。
金利上昇は、6年目からとし、完済まで変わらないこととします。また、金利上昇については、①+0% ②変動金利の店頭金利が4% ③変動金利の店頭金利が6%とします。なお、計算簡略化のため固定期間終了後は変動金利になるものとします。

※過去の平均:昭和59年〜平成27年における変動金利型の平均値

(例5)

借入金額3,000万円、借入期間35年、元利均等返済
融資手数料:32,400円、保証料:借入金額の2.06%
最優遇金利適用:全期間1.7%引き下げ

基準金利 適用金利 上昇後の適用金利

上がらない

過去の
平均並み

過去の
平均以上
変動金利 2.475% 0.775% 0.775% 2.3% 4.3%
3年固定 2.65% 0.95%
5年固定 2.75% 1.05%
10年固定 2.95% 1.25%
20年固定 3.8% 2.1%

【表の見方】例)3年固定の場合
3年目までは固定金利の0.95%、 4〜5年目までは変動金利の0.775%、 6年目以降は上昇後の適用金利①〜③のいずれかが適用されるとする。

金利変化によるAPR

変動金利、3年固定、5年固定、10年固定、20年固定それぞれの変動幅を表したグラフ。

※白は①、赤は②、緑は③

グラフを見ると、固定期間が短ければ変動幅が大きい(金利変動リスクが大きい)ことが、すぐにわかるでしょう。
選択としては、金利が過去の平均並みの水準になると考えるならば10年固定、それ以上に上昇するおそれがあると考えるならば20年固定を選択すべき、ということがわかります。

住宅ローンアドバイザー 淡河 範明