住まいの地震対策

地震に関する情報

地震を予知するということは、地震の起こる時、場所、大きさの三つの要素を精度よく限定して予測することです。現在の科学的知見からは、そのような確度の高い地震の予測は難しいと考えられています。
以前に行われていた東海地震予知情報は、2~3日以内に想定される東海地震が発生するおそれがあるという確度の高い情報です。しかしながら、現在の科学的知見からは、こういった確度の高い地震の予測は難しいと考えられ、現在は公表されていません。
一方、「南海トラフ地震に関連する情報」は、南海トラフ沿いで異常な現象が観測され、その現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうか調査を開始した場合、または調査を継続している場合、あるいは観測された現象を調査した結果、南海トラフ沿いの大規模な地震発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まっていると評価された場合などに発表されています。

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地震に対する建物の安全性

新耐震基準

現在、わが国の住宅などの建築物の地震に対する安全性の基準は、建築基準法により定められた「新耐震基準(昭和56年6月1日改正)」です。この基準は、宮城県沖地震(1978年)をきっかけに、地震に対する安全性の考え方を大きく見直して定められました。
「新耐震基準」は、「地震により建物が倒れない」ことだけではなく、「建物の中にいる人の安全を確保する」ことを重視しているため、建物を設計する際に、大地震、中地震の2つの地震のレベルについて、建築物の安全性を検討することが義務付けられています。

1. 大地震
数百年に一度程度発生する地震(震度6~7程度)でも建物が部分的に損傷をしても、中に居る人の命が損なわれるような壊れ方をしないレベル
2. 中地震
数十年に一度発生する地震(震度5強程度)でも大規模な工事を伴う修復を必要とする程度の損傷を生じないレベル

耐震診断と耐震リフォーム

昭和56年(1981年)以前に建築された住宅や耐震性に不安のある住宅にお住まいの方は、耐震診断を行い、必要に応じて耐震改修(リフォーム)をされることをおすすめします。耐震診断の結果、耐震性が不足していたとしても耐震改修を行うことで、大地震に対して、現在の耐震基準で建てられた建物と同等の耐震性を確保することが出来ます。

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耐震性能の評価や証明等

住宅品確法の耐震等級

地震に対する強さは、新耐震基準(建築年による判断)以外にも判断材料があります。 平成12年4月に施行された住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品確法)に基づき、性能評価を受けた住宅は、「耐震等級」によって地震に対する安全性がどの程度か知ることができます。

耐震等級1 建築基準法の「新耐震基準」をみたしています。
耐震等級2 建築基準法の1.25倍の強さを持っています。
※学校・病院等の防災拠点と同程度の耐震性を有します。
耐震等級3 建築基準法の1.50倍の強さを持っています。
※警察・消防署等の防災拠点と同程度の耐震性を有します。

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耐震基準適合証明書

  1. 「耐震基準適合証明書」は、建物が耐震基準を満たしていることを証明する書類です。 指定性能評価機関などのほか、建築士事務所登録を行っている事務所に所属する建築士でも発行できるものです。
  2. 「耐震基準適合証明書」があれば、住宅ローン減税 ・ 登録免許税 ・ 不動産取得税の減額が、また、上部構造評点が1.0を超える住宅は固定資産税の減額や、地震保険の割引を受けられる場合があります。

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家具・家電製品等の地震対策

阪神・淡路大震災を激震地で被災した人に話を聞くと、地震の瞬間に「テレビが飛んだ」「冷蔵庫が倒れた」という経験をした人の声が多数聞かれました。 家具を固定する地震対策は浸透してきましたが、家電に関しても同じような対策が必要です。

※家電機器は、様々な形状・構造があるため、基本的にはメーカーが推奨する方法を確認しましょう。

1.薄型テレビ

今や大半の人が薄型テレビを視聴するようになりました。薄型テレビは、軽量化していますが、その分、倒れやすく、また飛び出しやすいとも考えられます。
もし頭部を直撃すると、非常に危険であることから、まずはテレビ本体や脚などを必ずテレビ台、壁などのより強固なものに固定することが必要です。

(1)テレビ台とテレビを固定できるようなボルトが用意された製品の場合

メーカーの取扱説明書の方法に従い固定します。
さらに、可能な限りテレビ台を床や壁に固定することも必要です。

(2)テレビが台へ固定するような設計になっていない場合

次の方法等を利用して、しっかり固定します。
① 「金具」による固定
大型テレビなどを金具を使用した取り付け例の図
② ベルトによる固定
「テレビ転倒防止金具(ベルトタイプ)」
ベルトの長さを調整してテレビをラックに固定
③ ゴムシートによる固定
より簡単に固定する方法として、粘着性のあるジェル性状の超軟質ゴムシート(耐震シート)を薄型ディスプレイの脚の部分に敷き、すべり止めとする方法もあります。
(その他の家電、OA機器、工芸品などの転倒防止にも使用可能)

2.冷蔵庫

冷蔵庫も重量が大きいので、事前に転倒防止の対策をしておきます。
一般的な冷蔵庫には、裏側に紐などをかけることのできる取手が設置されていますので、これに固定用ベルトなどを通して壁などに固定します。

3.書棚や食器戸棚など家具の固定と飛散防止

書籍や食器等の飛散防止策

  1. 扉に開閉防止の金具を設置
  2. ガラス飛散防止フィルムを貼り付け
  3. 食器の飛び出し防止の桟設置
  4. 食器の下に柔らかい敷物 など
本棚の本、家具の上に置いてある工芸品、食器棚の中の食器なども、地震の際に飛散することにより、避難の経路をふさいだり、ガラスなどが割れて危険になったりするおそれがあります。
美観を損なわないよう配慮しながら、飛散防止の対策をします。
※背の高い家具などは、市販の転倒防止金具などの代わりに、応急処置として段ボールや発泡スチロールなどで天井のすき間を埋めることにより、軽微な転倒防止処置になります。

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窓ガラス等の地震対策

地震による窓ガラスの危険

地震の中で混乱している時

  1. 割れたガラスがささる。
  2. 破片を踏んでケガをする。
  3. 片付けの時に手を切る。

などの2次的な危険が生じます。

ガラスが落ちた場合、下を通っている人に危害を加える場合があります。
玄関から避難できないため、やむを得ず窓から避難する場合、ガラスが割れていると、窓からの脱出が非常に困難になります。

地震に強いガラス

窓ガラスの種類による地震時の割れや飛散等による危険性を理解しましょう。
地震に強い窓ガラスへの交換も検討しましょう。

地震に強い主なガラスの例とそれぞれの特徴

網入りガラス 火災の時にガラスが落下しにくいので防火性にすぐれています。
破損しても飛散しにくいので、ガラスの落下や飛散の面では安全なガラスです。
ガラスが厚くなり重量感がありますが、異物が混入しているため強度は同じ厚さのフロートガラスよりも低くなります。
強化ガラス
板ガラスを高温(700℃程度)で加熱・表面を急冷し、圧縮層を持たせたガラスです。
衝撃に強く、フロートガラスの種類によっては3~5倍の強度をもつものもあります。
強風や地震発生時にも割れにくい一方、1点集中での力には弱く家具やハンマーで比較的容易に割れてしまいますので防犯上は有効ではありません。
ガラスの破片は丸い粒状なのでケガをしにくく安心です。
合わせガラス
合わせガラスは、2枚のガラスの間にプラスチックの中間膜(特殊なフィルム)をサンドイッチして熱と圧力とで完全に接着させたガラスで、自動車のフロントガラスに使われているものです。
強化ガラスほどの衝撃への強さ(割れにくさ)はありませんが、強靱な中間膜がガラスを吸着しているので、ガラス破片の飛散や脱落はほとんありません。

※フロートガラスは、普通板ガラスのことです。

窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る

窓ガラスに飛散防止フィルムを貼ります。
  1. 自分で貼り付けることも可能ですが、すき間無くぴっちりと貼り付けないと、効果が弱まります。施工を頼むかどうか、また自分で貼る場合の方法など予めよく考えておきましょう。
  2. 透明度が高く薄いフィルム状のシートなので、外観も目立ちません。(通常は室内側に貼ります。)
  3. 自分でシートを貼る場合
    中性洗剤の希釈液(20倍希釈程度)を接着面とガラス面の両方にスプレーしながら貼り付けると、わずかな位置のずらしなども出来、落ち着いてきれいに貼れます。
  4. 最後にフィルムを全面ガラスに貼り付けた時に、「タオル」でガラスの中央から外へ空気や水分を追い出しながら密着させてゆく時にも、フイルムが傷つかないようにフィルム表面に石鹸水をスプレーするときれいに仕上がります。 ※食器棚のガラスなどにも貼っておくと効果的です。

窓にカーテンをする

就寝中の大地震に備えて、寝室の窓ガラスが割れてガラスが飛散し、大けがをしないように、ベッドや布団の近くに窓ガラスがある時には、就寝時はカーテンやブラインドを必ず下ろしておきましょう。
カーテンやブラインドがワンクッションになって、ガラスから身を守ることができます。

参考サイト

参考図書

住まいの地震対策に関することは、住宅金融普及協会発行の「住まいの管理手帳」にも掲載されています。
(戸建て編:P.30~36 マンション編:P.14~18)