ファイナンシャル・プランナー 汀 光一
ここ数年で金融機関が取り扱う住宅ローンの種類は急激に増えました。はたして、その中から自分にあった住宅ローンをどのように選んだらよいのでしょうか。
住宅ローンの種類が増えて、各金融機関の住宅ローンのパンフレットやホームページの広告を前にして迷ってしまいますね。
住宅ローンを利用する場合、まず毎日の生活に無理を来たさないようにローンを組むことが大切です。住宅ローンの返済は長期に渡るため、現在の家計では問題なくても、将来の生活設計を立てた上で返済計画を考えてみないと将来も問題がないかどうかはわかりません。
一般に年間の返済額は「年収の25%以内に」という一応の目安がありますが、実際は20%でも負担が大きくなっているというケースもあります。年収負担率は、年間返済額÷年収×100で求められますが、住宅ローンによっては、借り手の所得によって、30〜40%でも貸しているところがあります。ただし、借りることができたからと言っても、それは無理なく返していける金額とは限りません。
多くの住宅ローンの借り入れ限度額は、まず、購入価格(または建築費)の80%以内ということが条件になっています。その上で、収入基準の限度内という条件に合うかどうかが判断されます。例えば、収入基準が、「毎月の返済額の5倍以上の月収があること」とは、(他の返済が無い場合)「返済は収入の20%まで」と同じ、「毎月返済額の4倍以上の月収が必要」は、年間返済額は年収の25%以内と同じことを意味します。
では、無理のない住宅ローンの借入額の目安は、どのように計算すればよいのでしょう。
まず、現在の年間家賃(駐車場含む)+現在の年間貯蓄額=A とすると
| A | − | 購入後の予定年間貯蓄額 | − | ローン返済以外の年間住居費 (固定資産税など) |
= | 年間返済額の目安 |
となります。
次に、年間返済額の目安÷12÷100万円あたりの返済額×100万円で、標準的な借入額が出てきます。しかし、小さいお子さんがいる場合、将来の教育費の上昇などもありますので、貯蓄額は今後の収支の黒字の金額を見ながら、少し多めに見積もった方が安全です。
例えば、次のようになります。
| 現在の年間家賃 (144万円) |
+ | 現在の年間貯蓄額 (100万円) |
= | A (244万円) |
| A (244万円) |
− | 購入後の予定年間貯蓄額 (70万円) |
− | ローン返済以外の年間住居費 (40万円) |
= | 年間返済額の目安 (134万円) |
| 年間返済額の目安 (134万円) |
÷ | 12 | ÷ | 100万円あたりの返済額 (元利均等30年返済、 金利3%で、4,216円) |
× | 100万円 | = | 借入額の目安 (2,648万円) |
以上の計算方法で、借入額の目安は2,648万円となります。これに頭金を加えれば購入価格、その頭金と諸費用を足したものが自己資金として用意する金額になります。
無理なく返せる金額から物件の価格も考えると、あとどれだけ自己資金を準備したらよいかが明確になります。
※住宅金融支援機構や民間金融機関のホームページでは、さまざまなシュミレーションが可能です。
たくさんの住宅ローンから、金利、金利タイプ、返済方法、返済期間、融資条件、諸経費などを総合的に比較検討して判断することが大切です。手続きがわかりやすく、低金利で将来も返済が安心な次のような住宅ローンを選択してみてはいかがでしょう。
元利均等返済は、毎回一定の返済額で、返済計画が立てやすいのが特徴ですが、返済当初は返済額に占める利息の割合が高く返済が進むにつれて元金の返済に充てられる部分が増えていきます。
元利均等返済の仕組み
元金を返済期間で均等に割って一定にする返済方式のため、当初の返済額は多くなります。
しかし、返済期間の経過とともに利息を含めた返済額は徐々に減少していきます。
当初の返済額が大きくなる分、返済計画が立てにくいのですが、元利均等返済と比べると、元金部分が早く減る分支払う利息が少なくなり、総返済額も同一条件の元利均等返済と比べて少なくなるといった特徴があります。
元金均等返済の仕組み

ローンを組む際のポイントのひとつが返済期間を何年にするかです。
返済期間は、ローンごとに申し込む人の年齢などで最長年数が決められています。したがって、資金計画を立てるときには返済期間を最長年数で設定しがちですが、返済期間を長く設定すると毎月の返済額を低く抑えることができる半面、総返済額が増えるというデメリットがあります。逆に、返済期間を短くすると、毎月の返済額は増えるものの総返済額を抑えることができます。そこで、まず返済期間をどの程度まで短縮できるかを計算してみることが必要です。
返済期間はできるだけ短く設定する方が望ましいのですが、試算した返済額に無理がある場合は、ある程度長期で設定せざるを得ません。また、今は無理がなくても将来的に家計を圧迫する可能性がある場合は、毎月の返済額を抑えるために長期で設定するほうが安全です。長期で設定した場合、特にサラリーマンの方は、毎月の家計に余裕があれば途中で期間短縮型の繰上返済をするなどして、定年後にローン返済が残らないようにしたいものです。
また、元金均等返済を選択することによって総返済額を抑えることができますが、初回返済額が高くなるため、返済負担率の関係から元金均等返済の選択が難しい場合があります。このような場合、返済期間を短くすることも検討すべきです。例えば、元利均等返済のままで返済期間を「35年→30年」とする方が、返済期間を35年として元金均等返済にするより、初回返済額も総返済額も抑えることができます。
基本は、金利の上昇局面では固定金利、金利の下降局面では変動金利を選択します。金利は上昇を始めると短期間でかなりの水準に達してしまう場合もあるので、低金利状況では固定金利を中心に住宅ローンを組むべきといえるのではないでしょうか。
返済期間終了まで金利が変わらないのが特徴。金利水準が低いときに利用すると効果的です。途中金利が上がる段階金利タイプもあります。
変動金利型の住宅ローンは、短期プライムレートなどの市中金利の変化に連動して、金利が変わっていきます。財形融資は5年に一度、民間ローンは半年に一度、適用金利の見直しが行なわれます。返済額は5年間変わらず、その返済額の中で元金と利息の割合が変更されます。また、返済額は、5年に一度、残高と返済期間に応じて再計算されます。その際、大幅な上昇を避けるため、上昇分はそれまでの返済額の25パーセント以内(財形融資は50パーセント以内)に抑えられます。
半年に一度、適用金利の見直しが行なわれる基準日は、4月1日と10月1日が一般的です。金利に変動があった場合、すでに借りている人の利息計算に反映されるのはそれぞれの基準日の3ヶ月後である7月と1月の返済分からとなります。
なお、金利優遇と称して、このように決められた基準の金利から、さらに金利を割り引くサービスを行なっている金融機関もあります。
また、変動金利のリスクとして、急に金利が上昇する場合、返済しても借金が減らないどころか、返しきれない利息が雪だるま式に膨らんでしまう「未払利息」が発生することもありますので要注意です。
固定金利選択型も変動金利の一種で、当初一定期間の金利が固定されているタイプのものです。一般的に固定期間は1年〜20年ぐらいまでありますが、2年固定、3年固定、5年固定、10年固定の取り扱いが多くなっています。
固定金利期間があけると、その時点の金利が適用になり、返済額も再計算されます。ただし、新返済額には、変動金利のようなそれまでの返済額の1.25倍という歯止めがありません。金利が高いとそのまま返済額に反映されることになります。したがって、将来の返済額が40〜50%も急に増えるというリスクもありえますのでご注意ください。
固定期間終了後の金利については、
一部繰上返済を行う場合は、月々の返済が苦しいときには返済額軽減型を、その他のときには利息軽減効果の高い期間短縮型で行うなど、現在や将来の負担も考慮した工夫も必要です。毎月の家計に余裕があれば、お金を貯めたうえで繰上返済するよりも、最初から返済期間を短くした方が得策となる場合もあります。
一般的に使われているのが、返済期間短縮型です。毎月の返済額を変えずに、繰上返済した元金に相当する期間だけ返済期間が短縮されます。早い時期に実行すると、利息軽減効果と期間短縮効果が大きくなる特徴があります。
返済期間短縮型の仕組み

返済期間を変えずに、毎月の返済額を軽減するのが返済額軽減型です。一部繰上返済した後の元金で残りの期間に新しいローンを組む計算をします。月々の負担を軽くしたいときに利用しますが、返済期間短縮型と比べると、利息軽減効果は小さくなります。
返済額軽減型の仕組み

複数の住宅ローンを利用している場合、どのような順序で返していけばよいか。原則的には下記のとおりです。
ただ、これは総じて言えることに過ぎないので、すべての方にあてはまるとは限りません。
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